今回は、初めてがまごおりじなる授業レシピが活用された、形原小学校3年生の授業を見学してきました!
授業の内容はロープ産業について。社会科の単元に、地元の工業について知ろう!という項目があり、今回の授業が決定しました。見学先は、形原でロープづくりを行っている稲葉製綱株式会社さん。創業100年の歴史ある企業さんです。
授業の中で、形原の町で主要な工業と言えばロープでしょ!となり、子どもたちはロープを触ったり、分解してみたり、どこでロープが使われているかなどなど、実際に触れたり、見たりしながら学んできました。ロープを分解することで、どうやらロープはたくさんの糸が合わさってできているらしい!ということに気づいたそうです。
見学中も理解度がとても高いなと関心したが、事前に色々学んできたからこそでした。
子どもたちは形原小学校から稲葉製綱さんまで徒歩で来ていた。到着後さっそく2班に分かれて工場見学スタートです。
①細い糸を合わせてヤーンをつくる
数本の細い糸をより合わせヤーンをつくります。最初は右撚り。
②もう1回より合わせてヤーンをつくります。
ロープをより丈夫に太くするため2回目のヤーンをつくります。2回目のヤーンを複合ヤーンといいます。このときは反対の左撚り。
③ストランドをつくる
複合ヤーンをたくさん合わせてストランドをつくります。右撚り。
④ロープになる
ロープは3本のストランドを合わせてできています。左撚り
⑤ロープの耐久力を調べる
ロープを両側から引っ張り、何kgまで耐えられるのかのテスト。子どもたちも興味津々でした。このロープは1360kgまで切れずに耐えていました。
⑥質問大会
工場見学後は、事前に学校で考えてきていた質問、工場見学を通して新たにでた質問をどしどし聞いていました。
とても活発に手が上がっており、色々な質問が飛び交っていました。
印象深かった質問がいくつかありました。
Q(児童):形原のロープは何で有名なんですか?
A(稲葉さん):形原には稲葉製綱も含めてロープの会社が16社(※現在のロープ組合員登録社数)ある。16社もあるから、形原に注文すればどんなロープでも作ってくれる。うちではできなくても、他の会社ならできますよといったこともある。そういった流れから稲葉製綱を含めた形原のロープ屋さんへの注文が増えて、生産量が1位になったんだよ。
Q(児童):いつからロープづくりって始まったんですか?
A(稲葉さん):1906年に初めて形原でロープが作られたよ。
Q(児童):稲葉製綱さんはいつできたんですか?
A(稲葉さん):ちょうど今年で100周年になる。形原のロープ作りを始めたのは漁師の長男だった小島喜八さん。漁師のために強い糸を作りたい!と思い、糸を作る機械※後去歯車式撚糸機(あとざりはぐるめしきねんしき)を1874年に考案開発し、その機械やロープの作り方をみんなに教えてくれたんだよ。稲葉製綱を作った稲葉金治郎さんも作り方を教えてもらって1923年に稲葉製綱を始めることができたんだよ。
Q(児童):イナバのロープはどこでたくさん使われているんですか?
A(稲葉さん):北海道の牛の牧場で一番使われています。ちなみにロープの使用量NO.1は北海道の漁師さん。漁師はロープを1番使う職業。漁師が多い北海道でよく使われているよ。
Q(児童):他にはどんなところでイナバのロープは使われていますか?御嶽神社の鳥居にかかっているロープはイナバロープですか?
A(稲葉さん):神社のロープは手作りのものだからイナバのロープじゃないんだよ。本当に色々なところでイナバのロープは使われいているけど、例えば鉄道会社さんが使っているトラロープだったり、ビルの清掃会社が命綱として使っているロープもそうだよ。他にも、船を岸に繋いでおくためのロープとか、海上自衛隊の潜水艦のロープとか…公園にあるあみあみの遊具にもイナバのロープが使われているよ。
Q(児童):イナバのロープは世界でも使われていますか?
A(稲葉さん):世界でもイナバのロープは使われているよ。例えば、タヒチの真珠養殖のためのロープだったり、某有名テーマパークのアトラクションとかにも使われているよ。
Q(児童):ロープと紐の違いってなんですか?
A(稲葉さん):ロープは太さが4mm以上のもの。紐は4mmよりも細いものだよ。
Q(児童):ロープを作るときに大切にしていることはなんですか?
A(稲葉さん):大切なことは、良い材料を使うこと。決められたルール(JIS規格)にきちんとしたがってつくることだよ。
今回子どもたちに教えてくれたのは、稲葉製綱株式会社 代表取締役 稲葉隆志さんと専務の稲葉千穂子さん。
今回のがまごおりじなる授業だけではなく、毎年蒲郡市内の子どもたちの工場見学を受け入れていらっしゃり、全国生産量1位の蒲郡のロープ産業について子どもたちに教えてくださっている。
遊具については新しいロープの製作だけでなく、メンテナンス事業も行っている。
終始、子どもたちからたくさんの質問があり、時間内に聞けなかった子どもたちもいました。
地元の産業を知ることに、こんなに興味を持っているんだなと驚きました。
日本全国、世界まで届く蒲郡形原産のロープ、イナバロープ。成り立ち、生産過程、出荷までの流れを子どもたちがしっかり学んでいた、とても良いがまごおりじなるな授業でした。